2023年4月に、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が衆参両院で可決されました。おそらく、2024年中に施行されると思われます。
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」は、下記のe-govサイトで全文を確認することができます。
この法律は、巷ではフリーランス保護新法と呼ばれているものです。
法律上、フリーランスを特定受託事業者と呼称しており、特定受託事業者の定義は下記の通りとなっています。
第二条 この法律において「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 個人であって、従業員を使用しないもの
二 法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。第六項第二号において同じ。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの
つまり、この法律は、
- 個人事業主が1人で行っている事業
- 社長1人しか所属していない会社組織の事業
につき、受託者の保護を目的とした法律です。
法律の詳細は法律を読んでいただくとして、要約すると、一般的に発注者側より弱い立場にあるフリーランスを保護するため、委託者側の一方的な都合で解約されたり、不利な条件変更が行われたりする事が無いように、発注者側に、委託内容を明示する「義務」が課されるというものです。

通常は、委託内容の明示は、契約書の取り交わしという形で行われることになると思います。
いわゆるBtoCの契約について、不当・無効を主張できる消費者法は、BtoBの事業者間の受託業務については適用されません。
契約書をよく読まずにサインしたとしても、サインした時点で契約に同意した事になり、あとで言い訳ができませんので、フリーランス側にも、契約書を読んで内容を把握するスキルが求められるようになります。
フリーランス側で用意した契約書と、委託者側の作成した契約書と付け合わせて、お互いに合意できる内容の契約書を新たに作成する、といった作業も発生するようになるでしょう。
フリーランス側としては、受託内容については、できるだけ詳細に記載されている必要があります。たとえば受託内容を「・・・に関する業務全般」としてしまうと、業務全般に様々な業務が含まれるため、契約違反を主張され、支払を受けられないといった可能性が出てきます。
フリーランス保護新法により、フリーランス側にも、企業と同レベルの契約手続きを行うスキルが必要となる、というのが、この法律の受託者側のポイントだと思います。
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