freee販売の特徴と、freee販売がフィットする業種業態について、私が実際に使ってみた感想を記します。
目次
freee販売を契約していました
2022年11月、freee販売がリリースされた直後から自事務所で契約し、使用してきました。
税理士事務所ではfreee販売を使用する必要性が薄いのは予めわかっていましたが、自分で使ってみないと、どのようなソフトウェアなのかわからず、お客様へご紹介する事もできないという事で、こういった新しいサービスは(高価でなければ)とりあえず使ってみることにしています。
しばらく使用しましたので、freee販売の特徴やフィットする業種・フィットしない業種等について、メモを残しておきます。
freee販売が力を発揮する業種は?
freee販売は、システム開発や建設業・個別受託生産を行っている製造業等の
- 顧客ごとにプロジェクトを立ち上げて販売・サービス提供等を行う
- 1つ1つのプロジェクトの金額がそれなりに大きい
企業・個人事業主にフィットすると思います。
特に、複雑すぎて誰もメンテできない「神excel」を使用してプロジェクト管理している場合は、freee販売への置き換えを検討しても良いと思います。
freee販売でできること
freee販売には下記のような機能があります。
- プロジェクト毎にどのくらい利益が出た(出る見込み)なのか、粗利を自動的で可視化
- 見積書や請求書を簡単に作成
- プロジェクト毎に発行した見積書・請求書・発注書等を一元管理
- プロジェクトの納品が完了し、売上が確定した段階で、freee会計へ売上仕訳を自動登録
- freee会計の取引先情報を共有して使用
- クラウドサービスなので、どこからでもアクセス可能
プロジェクト毎のこまごまとした手間が積み重なると、事務処理工数も馬鹿になりません。freee販売は、ここをワークフロー化するソフトウェアになります。
また、freee販売はfreee会計と連動しているため、見込み段階で、freee会計に登録された取引先情報を参照して情報登録し、売上が確定した段階で、freee会計側で売上仕訳を自動的に計上する等、freeeのシステム全体を活用した業務効率化を図る事ができます。
なお、標準的なfreee販売・freee会計を活用するワークフローは
- freee販売でプロジェクトを作成
- freee販売で見積書を作成
- freee販売で請求書を作成、freee会計へ売上仕訳が自動登録される
- freee会計で入金確認
- freee会計で領収書作成
という流れでしょう。
freee販売でプロジェクトの採算管理をしましょう
freee販売を使用してプロジェクト毎に採算管理していれば、プロジェクトが進捗するにつれて予想外の経費が発生して採算性が低下した場合に、赤字プロジェクトを回避し利益がでるよう、再見積もりを提出する、といった事が行えます。
もちろん、受注時に、予想外の経費がかかった場合に再見積もりが可能な契約書を取り交わすことは必須です。
特に建設業は、工事が進捗するにつれて部材や人工の出費が想定を超えることが良くあります。適宜再見積もりを行い、プロジェクト毎に適正な利益を確保する事がとても大切です。赤字の建設業は、この、再見積もりを行い適正利益を確保することで、業績をV字回復しやすい業種です。
1つ1つのプロジェクト毎に独立採算制を採用して、利益の最適化を図りたい。
「脱・どんぶり勘定」にfreee販売は力を発揮します。
他の販売管理ソフトとの違い
販売管理ソフトとしてメジャーなのは、弥生販売でしょう。
弥生販売は非常に多機能で、freee販売には無い機能があります。たとえば、弥生販売にある小売業の仕入・在庫管理等の機能は、freee販売にはありません。
昔、弥生販売の導入支援をした事がありますが、運用開始までの設定が非常に大変で、弥生の研修を受けてもなかなか理解できず、「これは事業者が自力で導入し使用するのは、ほぼ不可能なのではないか」と頭を抱えたことがあります。
その点、freee販売は、サービスがシンプルで設定項目も少ないため、freee販売がフィットする業種であれば「とりあえず使い始める」ことができます。
freee販売は、販売管理を行っている企業のベストプラクティスの中から必要な機能だけを取り出したようなソフトウェアです。
freee販売でなくてもいいかな?という業種
残念ながらfreee販売は、税理士業にはフィットしませんでした。
税理士事務所は、月次顧問契約という形で毎月一定額をお支払い頂く契約が多く、プロジェクト単位で売上が発生する事は少ないです。プロジェクト毎の売上管理・経費管理を行う必要性が低い業種となります。
同様に、一つ一つの商品単価が低い一般消費者向けの小売業や、ほぼ定額の収入が見込まれる不動産業なども、freee販売が適用しにくい業種でしょう。
まとめ
freee販売は、フィットする業種であれば、簡単シンプルな操作でプロジェクト毎の採算管理を効率的に行える「販売管理」+「案件管理」ツールです。
弊事務所では、10年超のシステムエンジニア経験を活かし、顧問先向けサービスとして、クラウドサービスを中心に組み合わせたDX化支援をご提供しています。今の業務をカイゼンできないだろうか、とお考えの社長様がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。