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ワーケーションの経費計上のポイント

経営の視点
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この記事の趣旨

ワーケーションで仕事をする際、経費にできるもの・できないものを整理してみました。

新しい働き方として、ワーケーションを活用する人が増えてきました。

ワーケーションとは?

ワーケーションにも様々な意味がありますが、この記事では、wikiにある「観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇をとる過ごし方」をワーケーションと呼びます。

ワーケーションのメリットには次のようなものがあります。

  • 通常の作業環境から離れることで、集中力が高まる
  • 気分転換がしやすく、ストレスを軽減できる
  • 新しい環境での刺激で、新しいアイデアを生み出すことができる

などなど。

人間の脳は、ルーチンワークを繰り返すと「飽きる」ので、効率が下がります。そこで、時々環境をガラッと変えることで、能率を上げる事ができると思います。

税理士も、クラウドサービスを駆使することで、WiFiに繋がっていてセキュリティが確保されていれば、ある程度の(税理士法に違反しない範囲内での)仕事ができるようになりました。私も時々ワーケーションをしています。

ちなみに、ワーケーション先で税理士が「税理士事務所」としての活動を行うと、税理士法違反になる可能性があるので要注意です(笑)

そもそも経費とは・・・?

そもそも経費とは何でしょうか。

どのような支出が経費として認められ、どのような支出が経費として認められないのでしょうか。

皆さんが気になるのは、「税務署がどう判断するか」だと思います。

税務調査で否認されないためには、税務署が何を経費として認めるか、そのルールを知る必要があります。

というわけで、国税庁の資料を漁ってみましょう!

個人事業(所得税)の場合

国税庁のHPに、次のような記載があります。

事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
 ① 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
 ② その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

①は、売上原価を指しています。小売業であれば、卸からの仕入が該当します。

②は、いわゆる販管費を指しています。

なお、家事上の経費は必要経費になりませんが、家事上の経費に関連する経費のうち、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分に相当する経費の金額は必要経費となります。

ここでのポイントは、「業務上の費用の額」「業務の遂行上必要である部分」と書かれている所です。

わかりやすく言い換えると、業務上必要と(税務署が)認めない支出は、経費として認められない、という事です。

法人の場合

国税庁のHPに掲載されている税務大学校の資料に次のような記載があります。

営利事業を目的とする経済活動による法人の課税所得を捕らえる法人税法上の「損金」の概念は、昭和25年の旧法人税基本通達において「損金とは、法令により別段の定めのあるものの外資本等取引以外において純資産減少の原因となるべき一切の事実をいう。」と規定されていたことから、法人が行う経済活動から生じる費用及び損失を広く捕らえているといえよう。

わかりやすく言い換えると、「法人が利益を得るために行う活動にかかる費用」でないと、経費として認められない、という事です。

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ワーケーションで経費にできるもの・できないもの

さて、いよいよ本題です。ワーケーション中の支出のうち、経費になるもの・ならないものについて考えてみましょう。

  1. 往復の交通費
    ワーケーション先に行かなくても同じ仕事ができる場合、往復の交通費は経費になりません。行っても行かなくても、事業に関係無いからです。
    往復の交通費を経費に計上したい場合、ワーケーション先にお客様を作って、関係する仕事をする等、そこでしか仕事ができない業務上の理由が必要になります。
  2. 宿泊費
    交通費と同様、ワーケーション先に行かなくても同じ仕事ができる場合、宿泊費は経費になりません。経費にするには、ワーケーション先に行く「業務上の理由」が必要だからです。
  3. コワーキングスペース代
    ワーケーション先でコワーキングスペースにドロップインして仕事をする場合、その料金は仕事のための経費として認められる可能性が高いです。
  4. 観光費用
    当然、認められません。
  5. 家族の同伴費用
    家族が同伴する場合の追加費用も、経費にはなりません。
  6. 個人的な食事や娯楽
    業務とは無関係な食事や娯楽の費用も、経費とは認められません。

私の場合

私は、時々東京島嶼部(大島〜小笠原)へ税務相談・法律教室で行くことがあります。

これは税理士の本業で、現地に行かないと出来ない仕事です。日中はほぼ仕事をしていて、観光をする時間は余りありませんが、交通費・宿泊費等は業務と観光で割合按分して、経費計上しています。

微妙なライン

ブログを書いている人から「ワーケーション先で、現地の喫茶店についてちょっと記事を書いたら、交通費等を全部経費にできるか」と聞かれたことがあります。

私は「税務署に否認されるリスクがあります」とお答えしました。

喫茶店の記事を書くことが目的ではなく、ワーケーションの交通費等を経費にしたいがための手段と税務署が判断すれば、交通費が否認される可能性は高いと考えています。

まとめ

ワーケーション中に支払ったもの全てが経費になるわけではありません。

どこまで認められるのか判断に迷う場合は、「税務署がどう考えるか」を想像してみると良いと思います。

それでは、良いワーケーション・ライフを!

Planどこを改善すれば良いかが見える
Doどう手を打てば良いかが見える
Check打った手の成果が見える
Actionさらに改善策が打てる

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