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2024/6 市川法人会 簿記講座

経営の視点
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この記事は、小笠原へ向かう船(おがさわら丸)の中で書いています。

6月に、市川法人会さんで、全12回に渡って簿記講座の講師をやらせて頂きました。市川法人会さんで簿記講座の講師を担当するのは、今年で3回目になります。

講座では、日商簿記3級受験のための話だけでなく、簿記が実際のビジネスにどのように役立つのか、そして経営者が簿記の知識を持つことの重要性について、なるべく具体例を挙げてお話しました。

去年の簿記講座の記事はこちら

経営者にとって簿記とは

経営者にとって必要な簿記の知識とは、帳簿をつけるためのものというよりは、帳簿を集計した成果物(月々の試算表)をもとに、自社が行った取引の全体像を把握し、どのような経営活動を行うべきかを判断するためのものだと思います。

経営者にとって簿記とは、試算表を読み解くための基礎知識、といっても良いでしょう。

簿記は

① 取引の発生 → ② 仕訳を入力する → ③ 試算表を作成する

という流れに沿って、帳簿に数値を記録(記帳)し、試算表を作成します。

経営者に必要とされるスキルは、上記の簿記の流れから試算表がどのように作られているかを理解することで、

③ 試算表 → ② 仕訳 → ① 取引

と試算表から簿記の流れを遡って、自社が行った取引の全体像を把握し、経営に活かす事でしょう。

つまり、試算表の数値を見て「自社がどのような企業活動を行い、どのような成果が出たのかをイメージする」ための基礎知識が、簿記になります。

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簿記と会計について

簿記とともによく出てくる用語として、会計があります。この2つは混同されがちですが、簿記は「日々の取引を記録する技術」であり、会計は「その情報を分析し、解釈し、報告するもの」です。

簿記と会計の関係は、建物を建てる際の基礎工事と構造に例えることができます。簿記は堅固な基礎を築き、会計はその上に建てられる構造物です。どちらも、企業にとって不可欠な要素です。

管理会計のための簿記

会計には、税金計算やステークホルダーに情報公開するために使う財務会計(税務会計)と、自社の経営に役立てるための内部資料として使う管理会計の2種類があります。

乱暴に言えば、税金計算には年間利益(課税所得)がわかれば良いので、財務会計では課税所得が正しければ、何とかなります。

一方、管理会計は、コスト削減・利益最大化・投資判断など、企業が直面する様々な課題に対して戦略を立てる際に使用するため、帳簿を正しく記録する事が大事になってきます。

管理会計使い企業の実態を正しく把握するためには、最初から管理会計に則った適切な簿記が必要になります。

過度な節税対策を行ったり、銀行に対して財務状態を良く見せようとして帳簿を捻じ曲げてしまうと、試算表・決算書等が企業の実態を正しく表すことができなくなってしまいます。

歪んだ地図をもとに進路を決定しても、目的地には到達できません。

目的地に到達するには、歪みの少ない、正確な地図が必要です。

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どのような管理がしたいのか(原価率・労働分配率・労働生産性など)、そのためには、どのような帳簿を作る必要があるのか。自分の会社の事は、経営者が判断すべきことだと思います。

最初から税理士に丸投げしてしまうと、その判断自体を放棄することになり、取れるはずのデータが取れない帳簿になってしまう可能性があります。

日商簿記3級で十分

自社の管理会計を税理士まかせにしないためにも、経営者は日商簿記3級の勉強をすることをおすすめします。

経営の意思決定を行うために、帳簿からどのような情報を取りたいのか。そして、どのような管理を行いたいのか。その判断を行う知識は、日商簿記3級で十分に身につきます。

日商簿記3級の知識があれば、売上高や原価・利益などの基本的なデータを理解し、それを使って自社の強みと弱みを分析することができるようになります。

簿記は会社の未来を形作るための強力なツールなのです。

Planどこを改善すれば良いかが見える
Doどう手を打てば良いかが見える
Check打った手の成果が見える
Actionさらに改善策が打てる

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