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所有者不明土地問題に向き合う ── 私たちがチームを立ち上げた理由

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以前からブログで書いてきましたが、所有者不明土地問題を少しでも解消したい、という思いから、土地家屋調査士、司法書士、税理士、測量士補で構成される専門家チームを立ち上げ、活動を始めています。

相続土地なんでも相談所

なぜこのチームを立ち上げたのか

このままでは、2040年には北海道の面積に匹敵する土地が所有者不明土地になる、という予測があります(所有者不明土地問題研究会 最終報告、2017年)。この数字は、単なる統計データではなく、日本の国土が直面する現実です。

私たちは、今ならまだ救える土地があると考えています。相続登記が進まないまま時間だけが経過し、関係者の記憶が薄れ、資料が散逸する。そうなる前に、取り組むべきだと判断し、土地家屋調査士、司法書士、税理士、測量士補、それぞれの専門性を持つ者が集まり、チームを結成しました。この問題に、実際に向き合うためです。

所有者不明土地という問題

所有者不明土地は、相続登記の未了、相続人の所在不明、転居の追跡困難など、複数の要因が重なって生まれます。一度この状態に陥ると、その土地は公共事業の妨げとなり、防災上のリスクを抱え、地域の景観を損ない、適切な管理がされないまま放置されることになります。

この問題は、都市部よりも地方で、本土よりも島嶼部で、より深刻な形で現れています。過疎化と高齢化が進み、本土との物理的な距離があり、世代間の連絡が途絶えやすい。島嶼部には、そうした条件が揃っています。

放置すれば、問題は確実に深刻化します。しかし、今この時点で適切に対処すれば、救える土地があると私たちは認識しています。

なぜ東京島嶼部なのか

私たちの主な活動エリアは、東京島嶼部です。具体的には、伊豆大島、八丈島、三宅島、新島、神津島、小笠原諸島などの島々です。

東京都でありながら、本土から離れたこれらの島々は、所有者不明土地問題において独特の課題を抱えています。島を離れた相続人との連絡が取りづらく、現地の情報が届きにくく、登記や測量のための専門家の訪問にも時間と費用がかかります。

私たちは、現地に足を運ぶことを選びました。データだけでは見えないものがあり、土地を実際に見て、触れて、知る必要があると考えたからです。

地図上の情報と、現場の実態は、必ずしも一致しません。境界の痕跡、古い建物の状況、周囲の土地利用の変化。そうした情報は、現地でなければ得られないものです。

私たちのチーム構成

私たちのチームは、4つの専門資格を持つ者で構成されています。

土地家屋調査士は、土地の現況を正確に把握します。必要に応じて現地測量を行い、隣接地との関係を確認し、土地に関する情報を整理する役割を担います。

司法書士は、相続関係を調査し、権利の所在を明らかにします。相続登記の手続きを進め、複雑な権利関係を整理し、法的に有効な形で所有者を確定させたり、法務局に提出する資料の作成支援を行います

税理士は、相続税や贈与税など、土地の権利移転に伴う税務処理を適切に行います。相続人が負担する税金を正確に計算し、必要な申告手続きを支援します。

測量士補は、正確な測量技術により、土地の位置・形状・面積を明らかにします。境界点の座標を測定し、地図データを作成し、土地の物理的な情報を確定させます。

これらの専門性が揃うことで、所有者不明土地の問題を、ワンストップで解決できる体制が整います。それぞれが個別に業務を行うのではなく、連携して取り組むことで、迅速かつ確実に問題を解決できると考えています。

加えて、私たちはGIS(地理情報システム)技術を活用します。現地調査で得たデータを地図上に可視化し、土地の状況を「見える化」することで、問題の全体像を把握し、効率的な解決策を立案します。

解説ではなく、解決する

相続土地国庫帰属制度について解説する専門家は、増えています。この制度は、相続した土地を国に引き取ってもらうことを可能にするもので、所有者不明土地問題の解決策の一つとして期待されています。

しかし、制度を知ることと、制度を使いこなすことは、別のことです。

実際に現地に足を運び、土地の状況を調査し、相続関係を整理し、測量を実施し、手続きを進め、申請をサポートする。そこまでできる専門家チームは、多くないというのが私たちの認識です。

私たちは、解決する側でありたいと考えています。制度の説明で終わるのではなく、実際に問題を解決し、所有者不明土地を一つずつ減らしていく。それが、私たちの役割だと考えています。

私たちの想い

日本の所有者不明土地を、少しでも解消したい。この想いが、私たちがチームを立ち上げた原動力です。

2040年には北海道と同じ面積の土地が所有者不明になるという予測は、現実のものとなりつつあります。しかし、今ならまだ救える土地があります。相続人がまだ存命で、記憶が残っていて、資料が残っている。そうした土地に、今のうちに手を打つことができれば、将来の所有者不明土地を防ぐことができます。

大きなことは言えません。日本全国の問題を一気に解決することは、できません。しかし、目の前の土地には、誠実に向き合うことができます。一つひとつの土地に丁寧に対応し、確実に問題を解決していく。その積み重ねが、やがて大きな成果につながると信じています。

島嶼部の土地は、アクセスが困難で、調査に時間がかかり、関係者との連絡も容易ではありません。しかし、だからこそ、私たちのような専門家チームが必要とされていると考えています。

所有者不明土地問題は、一朝一夕には解決しない、根深い課題です。しかし、立ち止まっていては、何も変わりません。

私たちは、一歩ずつ、確実に、取り組んでいきます。

Planどこを改善すれば良いかが見える
Doどう手を打てば良いかが見える
Check打った手の成果が見える
Actionさらに改善策が打てる

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