3月に引き続き、2025/5/8〜5/12の日程で、三宅島に滞在しました。

今回は、NPO法人司法過疎サポートネットワークの一員として、くらしの法律税金相談会を開催しました。
NPO法人司法過疎サポートネットワークは、弁護士・司法書士・税理士・土地家屋調査士等の士業が集まったチームで、内地のように気軽に司法のサポートを受けることが難しい東京島嶼部のサポートを行っています。
前回訪島時の記事はこちら。
私たち「三宅島相続土地なんでも相談所」は、土地家屋調査士・司法書士・税理士の専門家チームとして、特に「相続土地国庫帰属制度」の活用を通じて、三宅島をはじめとする東京島嶼部の所有者不明土地問題の解決に取り組んでいます。
今、日本では、
- 所有者がはっきりしない土地(所有者不明土地)
- 管理が全く行われず放棄されている土地(管理不全土地)
が増え、社会問題となっています。
このままでは、近い将来、日本の大切な国土が適切に管理できなくなってしまいます。
「今ならまだ、救える土地があるかもしれない」そんな思いから、今後も定期的に三宅島をはじめとする東京島嶼部を訪れ、調査・支援を行っていく予定です。
目次
阿古地区に秘められていた観光ポテンシャル

今回も相続土地国庫帰属制度の現地調査を行う予定でしたが、大雨や強風のため、急遽予定を変更し、図書館や資料館にこもり、過去の文献や資料と向き合う時間となりました。
資料調査を進める中で、興味深い事実が浮かび上がってきました。三宅島は定期的に噴火していますが、特に阿古地区への影響は甚大でした。
しかし、文献を紐解いていくと、もしもあの噴火がなければ、阿古地区は三宅島観光の中核を担う地域になっていた可能性が見えてきました。噴火前の阿古地区には、観光開発の計画や構想が複数存在し、その規模は三宅島全体を一大観光地に押し上げるほどのものだったようです。
自然災害と地域発展のジレンマ

相続土地の問題に日々向き合う中で、土地には必ず歴史があることを実感しています。
今回の調査でも、「利用されていない土地」の背景には、自然災害によって断たれた夢や計画があったことを知りました。
三宅島の美しい自然は確かに島の魅力ですが、同時にその自然の脅威が人々の生活や夢を左右してきた現実もあります。
土地家屋調査士として、司法書士として、税理士として、私たちは数字や法的な側面から土地を見がちですが、その土地が持つ物語に思いを馳せると、「もし、噴火が無かったら・・・」と考えてしまいます。
YouTube動画
資料調査の合間には、チームメンバーで釣りに出かけました。
三宅島の山並みを眺めながらのノンビリとした時間は、過去の資料で知った「失われた可能性」への思いを整理する貴重なひとときとなりました。
おわりに
今回の三宅島滞在では、天候不良により予定通りには進みませんでしたが、図書館での資料調査という予期せぬ時間が、新たな視点をもたらしてくれました。
相続土地の問題は、単なる法的・税務的な課題ではなく、その土地が歩んできた歴史と、これから歩む未来をつなぐ大切な仕事なのだと、改めて実感した滞在でした。
次回の三宅島訪問では、天候に恵まれて現地調査ができることを願いつつ、今回得た知見を活かして業務に取り組んでいきたいと思います。
私たち「三宅島相続土地なんでも相談所」がお手伝いできること
相続土地国庫帰属制度を利用するには、申請書類の作成だけでなく、多くの場合、隣地との境界確認や測量が必要となります。
私たち「三宅島相続土地なんでも相談所」は、土地家屋調査士・司法書士・税理士が連携し、この複雑な書類作成をワンストップでサポートしています。

現地での作業も含め、士業の専門家チームだからこそできることがあります。
私たちは、一つ一つの土地を大切にし、次の世代に引き継いでいく。そのために、できることから始めていきたいと考えています。