Immersed Visorをプレオーダーしました。離島や遠隔地で仕事をする際、マルチモニター環境を持ち歩くわけにはいかないため、Immersed Visorが役に立ってくれることを期待しています。
目次
はじめに
最近のテクノロジーの進歩は、仕事のやり方を根本的に変えつつあります。そして、仮想現実(VR)は、生産性と効率を飛躍的に向上させる可能性があると思います。
特に、ImmersedというVRワークスペース・ソフトウエアは、物理的な(デカい)モニターを使わず、VRヘッドセットさえあればマルチモニタ環境を実現できるため、税理士業務の効率化ができるのではないか、と期待しています。
いままでは、機材のスペックや価格等の問題で手が出ませんでしたが、今回、Immersedが2024年中旬にリリースを予定しているVisorというVRグラスを予約しました。
Immersedを使いたい!
今現在、私のオフィスの作業机はこんな感じになっています(配線が汚くてすみません)。ペーパーレスを進める代償として、モニターが沢山必要です。
- ウルトラワイドモニター1枚
- Macbook Air
- ThinkPad(Windows11)
- iPhone
通常はMacで仕事をしていて、e-TaxやDocuWorks等、Windowsでしか実行できない業務につき、ThinkPadを使用し、ChatGPTと音声対話するためにiPhoneを使っています。
税理士として、書類を作成する作業が色々と発生しますが、ほとんどの書式はA4縦を前提に作られています。
たとえば、確定申告書を横型モニターに等倍表示すると、内容を確認するにはスクロール操作をする必要があります。かといって全体表示すると縮小されて小さくなってしまいます。
前々から、A4縦の書類をノン・スクロールで等倍〜拡大表示するために、縦型のモニターが欲しいと思っていました。
縦型モニターで申告書を表示しつつ、横型モニターで会計データや各種資料を色々並べて作業がしたい。
Immersedであれば、これがVRヘッドセット一つで解決しそうだと考えました。
Immersedの特徴のうち、
- マルチモニター: 最大5つのバーチャルモニターをVR空間に生成できる
- ポータビリティ: どこにいてもVRヘッドセットさえあればImmersedを使用することができる
が、業務効率化のポイントだと思っています。
VRヘッドセットを仕事で使うためのポイント
最近になって、ようやく、仕事に使用可能なスペックのVRヘッドセットが複数リリースされるようにってきました。
VRヘッドセットを仕事で使うためのポイントは、次の3つだと考えています。
- カラーパススルー
パススルーとは、VRヘッドセットのカメラで、眼の前の環境をリアルタイムに見る事ができる機能の事です。一般的なVRヘッドセットは目隠しのようなものなので、そのままでは外の環境を見ることができません。そこで、カメラで眼の前の環境を撮影し、画面に表示することで、擬似的に外の環境とVR環境を融合表示させる手法を取っています。少し前までは、パススルー画像が白黒で、かなり違和感がありました。 - 紙と同等の解像度
紙の代替を目的としているので、文字がクリアに読める解像度が必要です。 - 長時間装着しても疲れないサイズ・重量
試しに500mペットボトル1本を額につけて首を上下左右に振ると、結構首にクるものがあります。作業によっては延々何時間も装着することになるので、軽さは大事です。
代表的なVRヘッドセット
Immersedが使用できるVRヘッドセットにはいくつかありますが、いまメジャーな製品は下記2つでしょう。
- Apple VIsion Pro
LiDARセンサーを搭載しているため、今私がやろうとしているゴニョゴニョプロジェクトにピッタリなのですが、さすがに50万円は高すぎて手が出ません。 - Meta Quest 3
8万円弱の現実的な価格帯で、かつ3世代目ということもあり、かなり完成度が高い印象です。ただ、公称515gが気になりました。昔、レースで首を痛めたため、あまり首に負荷をかけたくないんです。
Immersed Visorとは?
そんなこんなで情報を収集していた時に、Immersed Visorが発表されまして、興味を持ちました。
プレオーダーを開始した当初は一括購入プランしか無く、高価で全く手が出ませんでしたが、最近、初期費用を下げたサブスクプランが出て、一気に現実的になりました。
Immersed Visorは、次のような特徴を持ったVRヘッドセット、というか、VRグラスです。
- 高解像度ディスプレイ(4K micro-OLEDディスプレイを搭載し、両目で8K表示)
- 軽量(サングラスのようなデザイン、重量200g程度)
- ハンドトラッキング・アイトラッキング機能
- カラーパススルー機能
- Windows、Mac、Linuxで動作
Immersedのメーカーが作ったVRグラスですので、Immersedとの相性は(おそらく)バッチリでしょう。
サングラスのようなデザインですが、実際に直接外が見えるわけではなく、パススルー方式で、Visor搭載のカメラで撮影した外の映像をmicro-OLEDディスプレイに重ねて表示しています。
フロントパネルを外すと、こんな感じのようです。
このサイズでVR空間と現実空間を重ねて見ることができる・・・電脳コイルの世界に一歩近づいた感があります。最近のアニメでは、ユーレイデコの世界でしょうか。
サブスクでいいと思う
今回私は、Immersed Visor Founder’s Editionを24ヶ月のサブスク付きで予約しました。
試しに通常版のVisor 4Kを購入する場合、1ドル150円でトータル支払額を比較してみます。
買い切り | $1,049.98 | ¥157.497 |
サブスク 12ヶ月(トータル) | $1,119.87 | ¥167,980 |
サブスク 24ヶ月(トータル) | $1,359.75 | ¥203.962 |
トータル支払額は買い切りが一番安いのですが、サブスクは初期投資が$399.99(Founder’s Editionは699.99ドル)で済みます。仕事でしか使わないので、サブスク24ヶ月も、製品2年保証付きのリースと考えれば、そんなに高くないと考えています。
輸入消費税の問題
将来は日本の量販店で販売されるかもしれませんが、いま現在Immersed Visorを購入したい場合は、輸入ということになります。輸入に際しては、上記の金額のほか、税関を通過する際に輸入消費税がかかります。
実際には、輸入消費税は、CIF価格と呼ばれる運賃等も含んだ金額に対して10%かかるのですが、ここでは、単純化のために送料等は考慮しないで試算します。
また、法人・個人事業主が事業で使用し、経費計上することを想定しています。
・消費税の税抜経理方式を採用している場合の経理処理
私の事務所は消費税の納税義務者で、原則課税・税抜経理方式を採用しているため、輸入消費税は損益に影響させず、Immersed Visor Founder’s Editionの取得価額(減価償却の基礎価額)は699.99ドルのままです。
699.99ドルを円換算した金額に対して、税率10%がかかるので、おおよそ10,500円程度の消費税を払うことになると思います。これは仮払消費税として、消費税計算上控除します。
・消費税の税込経理方式を採用している場合の経理処理
消費税を税込経理方式で経理している事業者や免税事業者が輸入した場合は、支払った輸入消費税を加算した金額が取得価額(減価償却の基礎価額)になり、減価償却によって徐々に経費計上することになります。
・消費税額
買い切りとサブスクで、輸入消費税額も変わってくると思います。たとえば、通常版のVisor 4Kで1ドル150円換算で比較すると、おそらく下記のようになるのではないかと思います。税関の実務を知らないので、このあたりは理論と実務が合っているか、あまり自信がありません(汗)
- 買い切りで購入する場合・・・157,497円✕10%=15,800円程度
- サブスクで購入する場合・・・59,999円✕10%=6,000円程度
・サブスク代金の消費税
いまのところ、Immersed社はリバースチャージの登録国外事業者ではありません。
サブスクの月々の支払代金は、Immersedの海外法人に支払うことになるため、支払ったサブスク代金を全額(消費税課税対象外として)通信費や手数料で経費計上して終了です。
以上から考えると、買い切りの場合のみ、輸入消費税を多く支払うことになりそうです。
技適に注意
VRヘッドセットは一般的に電波を発信します。日本国内で電波を発信する無線機器を使用する際は、技術基準適合証明(通称「技適」)を取得する必要があります。
技適とは、日本での無線通信機器の安全性と互換性を確保するための制度です。これにより、日本国内で安全で信頼性の高い無線通信環境が保たれています。
この技適を取得していない無線機器を国内で使用すると、電波法違反で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
Immersed Visorはまだ発売されていない機器であり、技適に対応するかどうかわかりません。私が個人的にImmersed Visorのサポートに「ヤッホー、技適を取る予定はあるん?」と問い合わせた所、「いまやってるぜ!(Yes we’re working on it!)」との回答を貰いましたが、確定ではありません。
もし技適に対応しなかった場合、原則として日本国内で使用する事ができませんので、購入の際は注意が必要です。知らなかった、で済まされないのが法律の怖いところ。
離島の税務支援やワーケーションの際に
私は、NPOで小笠原諸島をメインに東京島嶼部を定期的に訪問し、税務支援を行っています。
その際Macbook Airを持っていくのですが、どうしても13インチモニター1画面だけでは仕事のやりづらさを感じています。
そのためだけにモバイルモニターを複数個購入するのも、それを担いで島に持って行くのも現実的ではなく、どうしても島で行える仕事が限られてしまいます。
Immersed Visorがあれば、普段自分の事務所の環境をそのまま島に持っていくことができ、普段行っている業務が同じように処理できるのではないか、と期待しています。
ワーケーション先でも、同じ事が言えます。Immersed Visorがあれば、ワーケーションがもっと活用できるのではないか・・・と考えています。
税理士法に触れない範囲で出先で通常通りの業務が行える(かもしれない)、Immersed Visor、期待しています!