Apple Genius Bar丸の内にお邪魔した際、展示スペースにApple Vision Proが鎮座していて、興味津々に見ていたら、スタッフのかたから「体験してみます?」とお声がけ頂いたので、Vision Proを体験してみました。
目次
M1 Macbook Air故障
前日まで動作していたM1 Macbook Airの電源が突然入らなくなりました。接続したACアダプタが冷たいままなので(通常、通電していれば発熱する)、どうやら充電できないままバッテリーを使い果たしてしまったようです。
症状はわかりましたが、こうなると私ではお手上げです。Apple Careに入っているので、Apple Genius Barを予約して、翌日Apple Store丸の内へ行ってきました。
- M1 Macbook Airは持ち運び用 兼 自宅用
- M2 Macbook Airはオフィス用
と使い分けているので、片方が壊れても業務が止まることはありませんが、やっぱり無いと困ります。
Vision Proの展示があった!
せっかくApple Storeに行くなら、見たいものがありました。
Apple Vision Pro。たぶんあるんじゃないかな、と期待していたのですが、やっぱり展示されていました。
Apple Store丸の内には、2台展示されていました。
興味津々に見たり、突っついたりしていたところ、スタッフのかたから「時間があるなら、体験してみますか?」とお声がけ頂いたので、Vision Proを体験させて頂きました。
セットアップやVision Proの機能等については、様々な情報がネット上に既にありますので、それ以外の部分や、Immersed Visorとの違いについて触れたいと思います。
パススルー表示と目の焦点
Vision Proを装着してまず面白いと思ったのは、目の焦点です。
裸眼で物体を見る場合、自然にその物体に焦点が合います。
Vision Proのパススルー越しに物体を見る場合は、物体ではなくスクリーンに焦点を合わせる必要があります。
裸眼とVision Proで同じ物体を見る場合であっても、目の焦点を合わせる位置が違う、という所がポイントだと思います。
つまり、XRでパススルーを積極的に使う場合は、裸眼とXR装置のパススルーが同じ見え方になるよう、視力補正をしないと、違和感が出ると思います。慣れだとは思いますが・・・
これは、どのXR装置にも言えることだと思います。
Immersed Visorにも視力矯正レンズはあるはずですが、Vision Proの視力矯正レンズのように日本でも買えるようになるかどうかは、いまのところ不明です。仮にVisor用レンズが発売されたとしても、そんなに量が出るものではないので、購入できる期間はそんなに長くないのではないかと予想しています。
もしImmersed Visor用の視力矯正レンズが発売されたら、早めに買っておこうと思っています。
単体でコンピュータであるということ
デモにお付き合い頂いたスタッフのかたが強調されていたのは、Vision ProがPC無し単体で動作する「コンピュータである」という所です。
他のXRゴーグルのようにPCやスマホと一緒に使う必要がないため、重たいPCを持ち歩く必要がない、というのは、確かにそうだと思います。
先日のImmersed VisorのIRLで、Vision Proとの重さ比較のデモを行っていましたが、Visorは基本的に本体の他にスマホかPCが必要ですので、その比較はフェアじゃないのでは?と思ったのも事実です。
ちなみにImmersed Visorには、単体で起動するWebブラウザの機能が存在するようです。
インターフェースの問題
Vision Pro単体で使用する場合、人間とのインターフェースが、
- 視線
- ハンドサイン
- デジタルクラウン
- ボタン
の4つだけというのがネックになると思います。
受動的に「見る」中心であれば複雑な操作は不要ですが、それであればテレビやスマホと大きな違いはありません。能動的に何かの作業をしたいために、XR機器を購入するわけです(少なくとも私は)。
長年使われてきたキーボード・マウス(私はトラックボーラーですが)は、入力インターフェースとして、やはり速い。
NARUTOが印を結ぶ時のように、ものすごい速度でハンドサインを繰り出し続けるのは、忍の血をひいていない、私のような一般人には難しいです。
修行すれば出来るようになるってもんじゃないってばよ。
空間コンピューティングの未来
Vision ProにBluetoothキーボードとマウスを接続すれば良い話ですが、それであれば、PCと繋いでしまったほうが速い・早いし、できる処理の範囲も広がる。
XR装置が単体でコンピュータである意味はどこにあるのだろう・・・というところで、Appleの「空間コンピューティング」構想が今後どのように発展していくのか、楽しみに見ています。
Macとの接続は一瞬
スタッフのかたから「もしMacをお持ちであれば、Vison Proと繋いでみますか?」とお話を頂いたのですが、直前に修理に出してしまったので、お店のMacbookをお借りして繋いでみました。
Macに視点を合わせると、サッと「接続」の表示が出て、ハンドサインをするだけで瞬時に接続が完了し、MacのモニターがVision Proに表示されます。画面がVision Proに表示されれば、あとは拡大・縮小・位置の移動も思いのままです。
この親和性は、さすがAppleだなと思いました。
仕事をする際のXRの最適解は?
Vision Proの操作自体には、わりとすぐ慣れました。
ただ、仕事で使うためのXR装置、として見た場合、全ての操作を、視線と手指の操作だけで行うのは、やっぱり辛い。
最近、私は音声入力を多用するようになりましたが、座って作業ができるなら、マウス・キーボードのほうが、思考からPCへの指示完了までのタイムラグが小さく早いです。
思考から処理完了までを、少ない操作タイムラグ・少ない操作で実行したい。ショートカットキーも同様の発想から考え出されたものだと思います。
であれば、現時点の技術において、仕事で使うためのXR装置の解は、結局のところPCの拡張デバイスとしてPCとセットで使う事なのではないか、XR装置が単体で動作する必要性は低いのではないか、と考えてしまいます。
技術の進歩が凄まじいので、MetaのOrionが市販化される頃には、何か変わるかもしれません。それも楽しみです。
3Dを3Dのまま見ることができる
Vison Proでは、3Dモデルが3Dのまま見える。つまり、LiDAR等で撮影した3Dモデルを、平板モニターの2次元疑似3D表示ではなく、奥行きがある3Dそのままに見ることができる。
Vision Pro自体に3D撮影機能があり、Vision Proで撮影した3Dがそのまま3Dで見える。
知識としては知っていましたが、実際に見てみると、これが衝撃的でした。
ちょっと数学的なお話
ある次元の物体は、そのひとつ下の次元で表現することが可能です。
たとえば、3次元の立方体をスライスして、2次元の平面上に四角で表現することができます。同じように、2次元の物体を一方向から見て、1次元の線として表現することが可能です。
Vision Proのような3次元表示デバイスでは、4次元の物体を3次元にスライスして、3次元の立体として表現することが可能なはずです。どのような表示になるのか、想像もつきませんが・・・
デジタルツイン構想
いま、世界に負けじと、日本もデジタルツイン構想に取り組んでいて、様々な地形・物体・構造データが3Dスキャンされ、毎日のように公開されています。それを活用した様々な新しい・面白いサービスもどんどん始まっています。
先日、東京都が航空レーザー測量による非常に高精度な点群データを公開しました。
3Dデータを測定する装置・技術は日進月歩で進化していますが、処理する人間側の装置はいまだに平板モニターのままです。
Vision Proのように3Dを3Dのまま見ることができる装置が普及すれば、人間側の装置の進歩が、さらに測定装置側の進歩を呼び、今まで考えもしなかった新しい用途が生まれるかもしれません。
Vision Proが気軽に買えるレベルまで降りてくるのはまだ先のことだと思いますが、人間側の装置の進歩は、この方向なんだろうな、と思い、それをいま実現できるAppleはすごいなと思います。
一度体験することをおすすめします
Apple Vision Proは60万円する装置ですが、Apple Storeでちょっと体験するだけなら無料です。これは、一度体験してみる価値はあると思います。私には衝撃でした。
もし体験される際は、空いている平日日中に行くことをおすすめします。
M1 Macbook Airはドック入り
なお、修理に持ち込んだM1 Macbook Airは、ロジックボード不良とのことで、預かり修理となりました。ということは中のデータは全部消えるってことですね。
VenturaからSequoiaへアップデートしようかと思っていたところなので、まぁ、いい機会だと考えることにします。